令和2年度第35回海洋化学学術賞

令和2年度第35回海洋化学学術賞は,令和2年11月14日(土)京都大学楽友会館にて,張勁氏に授与されました.

張 勁氏


所属・職:富山大学大学院理工学研究部教授

略歴:
1989年7月 中国東北大学鉱物工程系選鉱工程卒業(工学学士)
1995年9月 東京大学大学院理学系研究科化学専攻博士課程修了(博士(理学))
1995年10月 科学技術庁放射線医学総合研究所・科学技術特別研究員
1998年4月 富山大学理学部・講師
2000年10月 同・助教授
2008年4月 富山大学大学院理工学研究部・教授(現在に至る)

受賞題目:化学トレーサーの複合的活用による大気海洋の物質循環の解明

推薦理由:
張勁氏は,主要・微量化学成分の濃度および同位体比を用いることにより,1) 日本近海における大気海洋の物質循環の解明,および2) 沿岸域〜深海における海底湧水の観測研究の2系統にわたりフィールド研究を推進してきた.化学海洋学・海洋生物地球化学・環境地球化学をつなぐ学際的な研究分野を開拓した.乗船日数は1500日以上,深海潜水船による潜航調査6回,スキューバダイビングによる沿岸調査歴は20年に及ぶ.研究試料を自ら採取することにこだわるフィールド研究者として,信頼性の高い,高精度分析データ取得を着実に実施してきた.張氏は日本学術会議連携会員,SCOR(海洋科学研究委員会)副議長,GEOTRACES(海洋微量元素・同位体による生物地球化学研究)計画日本代表委員などとしても活躍し,日本のコミュニティの発展に大きく貢献してきた.よって張氏は海洋化学学術賞にふさわしいと確信し,ここに推薦する.